徒然にレビュー(9月)
9月に読んだ本のまとめ及び感想。
基本的には読書メーターに書いた感想をそのまま貼り付けに近い形だけど、まとめてみた。
下書きに雑文がいくつか溜まっていたので、それも
2015年9月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:3345ページ
国家と宗教――ヨーロッパ精神史の研究
著者:南原繁
変身
著者:東野圭吾
事件に巻き込まれた被害者が自殺した犯人の脳を移植させられた話。
生きながらえた純一の人格がドナーである犯人の京極の人格に徐々に徐々に蝕まれていく過程は悲しいものがある。
他人の脳によって趣味、趣向が変わっていき、それを止めることはできない恐怖と葛藤。それをあくまで実験サンプルとして扱う医者、それでも信じて献身的な愛を捧げる恵の対比。
物語で明らかになる京極の悲しい過去は、京極も被害者であり、その強い思いが純一を二度殺すという結末を生んでしまった気がする。
プラチナデータ
著者:東野圭吾
国によるDNA管理を主題とした話。
DNAもそうだが色々国が管理するということは、こういうことが起こる可能性があるなと考えさせられる。
表題の「プラチナデータ」の意味はわかったが、神楽君の多重人格の使い方がもっと何かあったのではと思う。殺人事件が出てくるわりには短絡的なものが多く、もっと大物感が欲しかった。
白鳥さんの国家権力への考え方は嫌いじゃない。あと、神楽君がどんどん人間味が出てくる感じが好き。
昭和ナショナリズムの諸相
著者:橋川文三,筒井清忠
あの頃の誰か (光文社文庫 ひ 6-12)
著者:東野圭吾
「秘密」のプロトタイプとなった「さよなら『お父さん』」所収の短編集。
筆者曰く「わけあり物件」ということで、これを出版しようと企画した編集者さんに感謝。90年代前半の作品が多く、出てくるものが古かったり、詰めが荒いなと思う作品もあるが、それ抜きでも十二分に楽しめる。
個人的には、「さよなら『お父さん』」以外には、「レイコと玲子」、「再生魔術の女」、「二十年目の約束」が良かった。特に後者2作品はなぜ未収録だったのか疑問が残るくらいにいい作品。
ロスジェネの逆襲
著者:池井戸潤
半沢直樹シリーズの第三弾。2作目で子会社へ出向した半沢が「信念」の元に親会社の銀行と戦う。
1作目、2作目に比べスリリング感はないが、「仕事」とは何かを改めて考えさせられる。
シリーズ化されてきて、わりと型にはまってきた感あるので、次の『銀翼のイカロス』に期待。
歪笑小説
著者:東野圭吾
出版業界を舞台にした短編集。黒笑小説で登場した人物が多く出てくるので、先にそちらを読むのがおすすめ。
出版社、小説家、その家族と色々な視点から出版業界のあれこれが見えてくる。
『職業、小説家』には作者が一番訴えたい要素をしっかり混ぜてきた気がする。書き下ろしの『巻末広告』がリアルすぎ(笑)
丸山眞男講義録〈第3冊〉政治学 1960
著者:丸山眞男
1960年度の冬学期に唯一行われた法学部の「政治学」の講義録を収録。
主体(個)→集団→指導→政党の順で、それぞれ政治の中でどのように関与し、動いているのかについて論じている。
第一講「政治的論考の諸特質」、第二講「態度・意見および行動」はかなりわかりやすく説明されており、納得させられる箇所が多い。「結語」では、この先の勉強法及び政治への意識の仕方を語っており、こちらも一読の価値がある。
赤頭巾ちゃん気をつけて
著者:庄司薫
たまたま実家にあったのと、「先生」のモチーフが丸山眞男らしいと聞いていたので、一読。
庄司薫が丸山ゼミの出身ということも知っていたけど、「ダベる」先生はまさによく聞く丸山眞男がそこにいた。
ちなみに6月18日放送のアメトーク『読書芸人』 第2弾で又吉大先生がオススメに入れていたらしい。
火花
著者:又吉直樹