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~世界の片隅から~

「天空の蜂」感想

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『天空の蜂』2015年9月12日(土)全国ロードショー!

 

連休前の金曜日に映画天空の蜂を観てきたので、ちょいちょい観た直後のツイートやネタバレを挟み込む形にはなりますが、雑記的に感想を。

公開前から観に行こうと思ってたのに、気づけば公開から1ヶ月経ってたけど、いい感じの時間帯に上映してたので。

席は、一番上段のセンター席で楽しみました。

 

 原作は1995年に発表された東野圭吾の『天空の蜂』。

この作品に関しては、原作を読んでからでもいいし、映画を観たあとに原作を読んでもどちらでもいいと思います。

自分は原作→映画という順でした。

天空の蜂 (講談社文庫)

天空の蜂 (講談社文庫)

 

 

作品はざっくりいうと、犯人が大型ヘリを乗っ取り、原子力発電所の上空にホバリングさせるという前代未聞のテロ事件。

詳細は映画を観るか、作品を読むかのどちらかに譲りましょう。

 

この作品は俳優が豪華。

江口洋介本木雅弘綾野剛仲間由紀恵、そしてワンカットのために向井理とかマジで豪華。脇役も豪華すぎて名前出しきれないですわ、本当に。

撮影時期もちろん違うんだけど、『日本のいちばん長い日』で昭和天皇を演じてからの犯人の三島役だったので、日本で一番高貴な人からのテロリストへの転落ぶり(?)は個人的にツボでした。

最後まで諦めない江口洋介って、本当に迫真の演技でカッコ良かった。

 

高彦がずっとビッグBへ乗っているシーンはハラハラ・ドキドキの迫力があった。

あんなギリギリのところいたら、普通上空の風で吹き飛ばれてしまうのではないかと何度も思ったことか。しかも救出のシーンでは、引っかかったワイヤーとるのに、上まで登ってそっから落ちるし。いや、あれは普通なら地上まで落下ものですよ、ホント。

そりゃ、小便も漏らしますよ。まぁ、普通ならモールス信号のやり取りしてるシーンでちびっててもおかしくないけど。

最初に高彦がシートや壁を蹴っているシーンがあって、子供のクセかな?と思ってたら、ちゃんとモールス信号という伏線という張り方は、自分がモールス信号をちゃんと知らないせいか驚いた。

 

錦重工業って、まぁ三菱重工業なんだけど、その関係か三菱自動車パジェロ出てきてた。でもあれ、パリダカとかで優勝した4WD車だからあんまり市街地とかに向かないし、三島は脚を怪我してるからそんな山とか行けないのに、なぜ持ってたのか不思議。

車はあまり詳しくないけど、パジェロは小さいころから知ってて、やっぱりカッコいいし、憧れる車。

 

 

 

95年がもう20年前なんだけど、小学生低学年で子供すぎてかなり曖昧だが、わりと大きな事件が年初からずっと続いた年だった記憶。

並べるとこんな感じ。

阪神・淡路大震災があったり、オウム真理教地下鉄サリン事件からの逮捕への一大事件、沖縄米兵少女暴行事件とかかなり大きな事件があった年。

映画にも関わるが、高速増殖炉「新陽」のモデルの「もんじゅ」もこの年の12月にナトリウム漏洩事故を発生させている。その後、2010年まで約15年停止されていた。(作品内の事件は8月8日に起きたという設定のため、この事故の前の話になる。)

今年の夏に「戦後70年談話」で話題になった所謂「村山談話」が出したのもこの年。

 

個人的だが、振り返ってみると、この年に起きたことが意外にも自分の中に引っかかる事柄の1つが多いことに気づいた次第。

 

 

このツイートの心理はやはり「原発安全神話」へ切り込んだ作品として、2011年の福島第1原発事故によってその神話は崩されたのだから、そこへの三島の感想が欲しかったなと。地震前後に獄中で三島が死亡するのは無言のメッセージ性があるのかもしれない。

とは言っても、この事故で全国の原発が停止し、さらに再稼動を始めるタイミングでこの作品が上映されてことは、原発の是非は別にして、意味があったのではないかと思う。

  

この言葉が示唆しているのは、本質的に民主主義を揶揄した衆愚政治が念頭にあると思われる。

ここでは原発自衛隊についての言及だが、もっと広く考えれば、民主主義という政治体制との関わり方を深く示唆している気がする。これは、三島の息子が自殺したシーンでもそれを示唆させていたように思う。

そういう意味で、三島や雑賀は原発自衛隊を憎んでいるのではなく、そういうことから目を逸らしている国民への警鐘であるといえる。

 

 

東野圭吾のサスペンス作品は、考えさせられる作品が多いので自分の好みにあっているのだが、その部分を倍以上に引き出されていたのではないかと思う。

最後の部分は、高彦が大きくなって自衛官でヘリのパイロットになり被災地を回るシーンは、こみ上げるものがあった。

 

 

本作品が原作の発表から20年後に映像化されたことやその内容もよく出来ているし、示唆に富んでいるという意味でも、素晴らしい作品。

可能であれば、映画も観て貰いたいし、原作も読んで欲しい作品。